
製紙プラント設備の損傷対策
製紙産業は、木材チップや古紙からパルプを製造し、それを抄いて紙をつくる複合的な工程で構成されています。各工程では高温蒸気、薬液、繊維質、スラリー、摩耗粉じんなどを扱うため、設備は常に過酷な条件にさらされています。とくに、黒液回収ボイラや、原料搬送で用いられるバンカースクリュー・リクレーマースクリューといった機器では、摩耗や腐食による損傷が頻発します。
こうした設備の安定操業を維持するためには、部品の長寿命化とメンテナンス期間の短縮が欠かせません。当社では、損耗部品を再生し再利用する肉盛溶接技術を活用し、交換コストの削減と資源の有効活用に貢献しています。
黒液回収ボイラの耐食肉盛溶接
黒液回収ボイラ(ソーダ回収ボイラ)は、製紙工程で発生する黒液(Na₂SO₄)を燃焼させ、苛性ソーダの原料となる緑液(スメルト:Na₂S主体)を回収するとともに、燃焼熱を工場の蒸気や発電に利用する重要設備です。
しかし、黒液に含まれる硫化成分による腐食、高温環境、還元性雰囲気などの影響により、火炉壁・パネル類は損傷が進みやすく、計画的な補修が不可欠です。当社では、硫化腐食に強い耐食材料を用いた肉盛溶接パネルを製作し、火炉壁の寿命延長と安定操業に寄与しています。








スクリューの硬化肉盛溶接
木材チップやパルプを搬送する設備として使用されるバンカースクリューやリクレーマースクリューは、繊維質・薬液・摩耗粉じん・固形成分などの影響で、外周部やリブ部の摩耗が進みやすい機器です。堆積による負荷増大や摩耗による性能低下は、設備停止やメンテナンス頻度の増加につながります。
当社は、摩耗に強い硬化肉盛材料を最適な位置に施すことで、スクリューを再生・長寿命化し、交換部品の削減とメンテナンス期間の短縮を実現します。再生によるリユースは、コスト削減だけでなく、資源の有効活用にもつながります。




その他の溶接施工事例
当社では、他にも様々な機器への硬化肉盛溶接施工を行っています。
その一例として、鋼板の表面に硬化肉盛溶接を施した耐摩耗プレートを活用し、サイクロンやシュート、ケーシングなどの製缶加工も承っております。
詳しくは、耐摩耗プレートの紹介ページをご覧ください。
また、ロッド式加湿混錬機の混錬棒には、耐摩耗性に優れた材料を棒の内部に充填する「3D-Carb」工法を用いて肉盛溶接を施しています。
今後も、お客様の設備に最適な施工方法をご提案し、安定稼働と長寿命化に貢献してまいります。


サイクロンの減肉対策

シュートの製作

空気ノズル天面の当社工場施工状況


最適なソリューションをご提案
「このような部品にも対応可能か?」といったご相談も、喜んで承ります。摩耗や腐食でお悩みの部品や設備には、最適なハードフェイシングソリューションをご提案させていただきます。また、お客様の仕様や要件に合わせた各種製品も豊富にご用意しております。どんなことでも、お気軽にお尋ねください。
